Javaの代替となるプログラミング言語5つ

Javaはコードが冗長になりがち?

Javaは、現在最も需要のある言語といっても過言ではありません。OSに依存せず実行できるように開発された言語であるため、一度 Javaでプログラムを書けば、様々な環境で使い回しが利いて開発効率が良いのです。

また、代表的なオブジェクト指向言語で大規模開発にも対応しやすいこと、メモリの確保と開放が自動的に行われるためプログラマにとって扱いやすいことなど、Javaはメリットの多い言語です。

一方で、Javaは設計がやや古く、コードが冗長になりがちとされることがあります。Javaのノウハウや開発環境を活かしながら、よりモダンな言語を使って、簡潔なコードで開発したいという需要は少なからずあるようです。

Javaの代替となるプログラミング言語5つ

このページでは、Javaの代替となるプログラミング言語を5つ紹介します。それぞれの言語が、なぜJavaの代替となるのか、習得の難易度はどれくらいか、などについて、初心者にも分かりやすく解説します。

1. Kotlin

Kotlinは、Javaをより簡潔に書けることを目指して開発されたオブジェクト指向プログラミング言語です。 KotlinはJavaと100%互換性があり、コードの相互利用ができます。

Kotlinコードから既存のJavaクラスやメソッドを呼び出したり、既存のJavaコード に Kotlinコードを追加することもできます。Kotlinで開発すれば、過去にJavaで開発された資産を再利用したり、Javaの知識や経験が活かすことができるというわけです。

Kotlin は、 Androidアプリの開発によく利用されています。Javaの代わりにメインの開発言語としてKotlinが採用されるケース、あるいは、既存のJavaコードに Kotlinコードを追加するケースなどがあります。

2017年、 GoogleはKotlinをAndroidアプリの公式開発言語に認定しました。Android向けアプリ開発の事実上の標準言語と言えばJavaを連想しますが、近年では Androidアプリの開発言語にKotlinを採用する企業が増えています。

2. Groovy

Groovyは、Javaとの統合および相互運用が可能なプログラミング言語です。 Groovyは、JavaプラットフォームのJVM上で動作します。Javaとの連携がよく、GroovyのコードからJavaのAPIやライブラリを呼び出して利用できます。

Groovyは、Javaと構文が似ていますが、Rubyの影響も受けています。Javaに比べると省略記法が可能であり、読みやすくシンプルに記述できます。Groovyで書かれたコードは、内部的にはJavaバイトコードに変換されます。最終的にはJavaと同じコードが生成されるということです。

Groovyは、Javaと同様の強力さを持ちながら、シンプルに書けて扱いやすいことなどから近年人気を集めています。Javaとの連携がよいため、主にJavaでプロダクト開発している現場などで徐々に需要が高まっています。

3. Scala

Scala(スカラ)は、Javaと互換性があり、Scalaから既存のJavaコードを再利用したり、Javaのライブラリを呼びだして使えます。

Scalaは、オブジェクト指向言語と関数型言語の2つの特徴を併せ持ったプログラミング言語です。関数型言語に慣れていれば、短いコードで効率よく開発できるメリットがあります。

また、小さなプログラムも大きなプログラムも同じ設計思想で書けるスケーラブル(可変的)な言語仕様になっており、開発するプログラムが大きくなっても対応できる拡張性を持っています。

一方で、Scalaは学習コストの高い言語と言われます。オブジェクト指向言語と関数型言語の2つの特徴を理解していなければ、Scalaの長所を引き出しづらいため、Scalaを学ぶ前に他の言語でのプログラミング経験が欲しいところです。

近年、日本でもScalaによる開発案件の求人は増加傾向です。Scalaを使いこなせる技術者は相対的に少なめで、Scala技術者の求人単価は比較的高めとなっています。こうした現場でScalaを使いこなすには、前提としてJavaの知識や経験がある方が有利でしょう。

4. Clojure

Clojure(クロージャー)は、Lisp方言として開発された関数型プログラミング言語です。言語開発当初からJVM(Javaプログラムを実行するソフトウェア)上で利用されることを意図して開発されており、Javaプラットフォーム上で動作します。Clojure側からJava APIが呼び出せたり、反対にJava側からClojureのプログラムが呼び出せるなど、Javaと連携して開発できます。

Clojureは、シンプルさを重視しています。例えば、関数に与える引数を一度作成したら、後から引数のデータ型を変更することはできません。データ型が変更されないというルールを持つことで、全体のシンプルさが保たれてコードへの信頼が高まります。

また、並行処理(マルチスレッド)が可能です。並行処理とは、ひとつのプログラムから複数のスレッドを並行して実行することです。 Clojure で並行処理が可能なのは、不変性に由来するシンプルさと関連しています。状態が変化しないので、ひとつの状態に対して複数の操作を並行して行えます。

5. Ceylon

Ceylon(セイロン)は、Javaをベースにして開発されたプログラミング言語です。Javaとは別の言語ですが、「Javaの複雑さなどを改善した拡張版」と捉えると理解しやすいかもしれません。

Ceylonは、Javaをベースにしながらも、言語仕様の一部を単純化することでJavaの複雑さを改善して、さらに関数型言語の特徴を採り入れるなどして開発されました。

CeylonにはJavaとの相互運用性があり、Javaの実行環境であるJVM(Java Virtual Machine)で実行できます。また、Eclipseベースの統合開発環境が提供されています。現在、Javaの開発環境があるなら、Ceylonによるプログラミングも始められます。

Ceylonは、Javaを代替できる言語です。現在、Javaで開発されているものなら、おおむね Ceylonでも開発可能です。ただし、Ceylonでの求人を検索すると、Ceylon言語が使えることを条件にした求人はあまりヒットしないようです。

まとめ

Javaの代替が登場するのは、それだけJavaの人気が高いからです。2020現在、Javaは開発現場で最も利用されている言語のひとつであり、求人数もトップクラスです。今後もJavaが他の代替言語に完全に置き換わってしまう可能性は極めて低いでしょう。

初心者がAndroidアプリを開発をしたい場合、Javaと代替言語のどちらを学ぶべきか迷うかもしれません。もし企業への就職を考えるなら、まずはJavaを学ぶのがよさそうです。求人数の多さで言えば、やはりJavaにはかなわないでしょう。

一方、マイナー言語の使い手は少ないので、これらの言語を使いこなせれば、技術者として差別化できるかもしれません。KotlinやScalaの求人単価が比較的高めなのは、需要に対して技術者の供給がまだ少ないことも一因です。

多くの現場で求められるのは、まずJavaが使えるうえで、Kotlinなどの代替言語も使える人材です。まずは、Javaを学んだうえで、他の代替言語に進むのがやはり王道と言えそうです。