Objective-Cとは
Objective-C(オブジェクティブ シー)は、1980年代初期にアメリカ人のブラッド・コックスとトム・ラブによって開発されたプログラミング言語です。 Objective-Cは、C言語をベースにして、Smalltalkという言語のオブジェクト指向を採り入れた言語として開発されました。
発表当初はあまり注目されませんでしたが、1985年にスティーブ・ジョブズが創業したNeXT Computer社において、Objective-Cが主力言語として採用されたことで注目が集まります。1995年には、NeXT Computer社がObjective-Cの権利を買い取っています。
Objective-C は、Apple社のiOSやmacOS向けの標準開発プログラミング言語となります。そして、iPhoneやiPadの登場により、iOSアプリ開発の標準言語として爆発的な人気を獲得するに至ります。
2014年には、 Objective-C の後継となる「Swift(スウィフト)」が登場したことで、iOSアプリ開発の標準言語は Objective-CからSwift へと移行しました。ただし、開発現場ではObjective-Cが必要とされる場面も多く、いまだに人気の高いプログラミング言語です。
Objective-Cは、つい最近までiOSやmacOS向けのアプリ開発の標準言語だった
Objective-Cは、つい最近まで iOSやmacOS向けのアプリ開発の標準言語でした。2014年に Swift(スウィフト) が登場してからApple社は Swift を推奨しており、Objective-Cには以前ほどの勢いが無くなったかもしれません。
しかし、Swift 登場以降も Objective-C でiOSやmacOS向けのアプリを開発することは可能です。開発者によってはSwift を使いにくいと感じる人もいて、あえてObjective-Cで iOSやmacOS向けのアプリが開発される場合があります。また、Swiftで開発しているアプリであっても、機能の一部を Objective-C で開発する場合もあります。
ベテラン開発者はObjective-C による開発に慣れていて、 Objective-C なら過去の資産を活用できるメリットもあります。現実的には、まだまだ Objective-Cによる開発には Swiftによる開発と比較して効率的な側面があるのです。
もちろんSwiftの良さはあります。しかし、Swiftで開発をすることはあっても、 Objective-Cを完全に捨て去ってSwiftに移行するほどには、Swiftのメリットは大きくないというのが実際のところなのかもしれません。これは、Swift が力不足というより、Objective-C が優れているので Swift が新登場したという理由だけでは捨てがたいといったところでしょう。
Objective-Cはこんな場面で使われている
Objective-Cは、 iOSやmacOS向けのアプリの開発に利用されます。
Objective-Cを学ぶメリット
これからプログラミングを学んで、macOS、iOS、watchOS、tvOS 向けのアプリ開発を志すなら、Objective-Cではなく、現在Apple社が推奨しているSwiftを学ぶのが良いでしょう。
Apple社のウェブサイトには、Swiftについて「パワフルなプログラミング言語でありながら、簡単に習得することができます。」と紹介されていますし、 Swiftの最新バージョンは、すでにSwift 5系となっています。
しかし、実際のアプリ開発の現場では、Objective-C で開発されたアプリの修正、更新などの需要が今後も少なくないでしょう。 Objective-C を学ぶことは、iOSやmacOSのアプリ開発や運営の現場では、今後も役立つ機会があるはずです。
SwiftとObjective-Cには互換性があるため、職場によってはこれらを混在させながら開発しているかもしれません。こうした職場で働くなら、SwiftとObjective-C の両方の知識を身に着けておけば、開発者として重宝されるでしょう。